ChatGPTを開くたびに「私は中小企業の営業担当です」「箇条書きでお願いします」と同じ前置きを打ち直していると、本題に入る前に時間が消えていきます。ChatGPTのカスタム指示とメモリは、こうした自分の前提を先に預けておくためのパーソナライズの設定です。ただし2つは役割が違うため、混同すると「消したはずの情報がまだ使われている」といった行き違いが起きます。この記事では公式ヘルプの記載にもとづいて、違いと設定手順、書き方の例を順にまとめます。
この記事で分かること
- カスタム指示とメモリの違いと使い分けの考え方
- Web デスクトップ iOS Android それぞれの設定手順
- 毎回の前置きを減らす書き方の例
- 覚えた内容を確認して直す手順とつまずきやすい点
要点(先に結論)
- カスタム指示は自分で書いて渡す指針です。公式ヘルプでは「あなたが提供する直接的な指針(direct guidance that you provide)」と説明され、保存した内容はすべてのチャットに即時適用されます。
- メモリは会話や他の情報源から育つ関連情報を使うしくみです。参照しうる情報源には、過去のチャット、保存されたメモリ、カスタム指示、Library のファイル、Gmail などの連携アプリの内容が含まれます。
- 設定場所は Web とデスクトップでは Settings の Personalization です。メモリはその中の Memory から管理します。
- カスタム指示は 2026年10月時点の公式ヘルプページでは Free と Go が 1,500 characters、Plus Pro Enterprise Business Education が 5,000 characters まで保存できると記載されています。上限は変わることがあるため、使う前に公式ページで最新を確かめてください。
- 「覚えさせる」と「学習に使われる」は別の設定です。モデルの改善に使うかどうかは Data controls の Improve the model for everyone で管理します。
カスタム指示とメモリの違い
カスタム指示は、ChatGPTに考慮してほしいことを自分の言葉で書いて渡す欄です。公式ヘルプには、保存したカスタム指示はすべてのチャットに即時適用され、設定の更新は既存の会話を含むすべてのチャットに即時反映されると書かれています。内容はいつでも編集や削除ができ、その変更は今後の会話に反映されます。
メモリは、やりとりの中から関連する好みや詳細をChatGPT側が拾って使うしくみです。公式ヘルプには「中断したところから再開しやすくなり、同じことを繰り返し説明する時間が減る」と説明されています。一方で、すべての会話のすべての詳細を保持するわけではなく、どの情報が応答に関連するかはChatGPTが判断し、文脈が変わればメモリも変わりうるとも書かれています。機能や操作できる項目は、プラン 地域 プラットフォーム ワークスペースの設定によって異なります。
公式ヘルプのFAQでも、メモリとカスタム指示は違うものだと明記されています。自分で言い切れる前提はカスタム指示に書き、言葉にしづらい積み重ねはメモリに任せる、という整理が実務では扱いやすい考え方です。
公式ページに記載のある項目の比較
| 項目 | カスタム指示 | メモリ |
|---|---|---|
| 公式の位置づけ | 自分が提供する直接的な指針 | 会話をまたいで発展する関連情報を使う |
| 設定場所(Web デスクトップ) | Settings の Personalization | Settings の Personalization の Memory |
| 反映のタイミング | すべてのチャットに即時適用 | 公式ページで確認 |
| 保存量の目安 | 2026年10月時点で Free と Go は 1,500 characters、Plus Pro Enterprise Business Education は 5,000 characters | チャット履歴から参照できる内容に別個の保存上限はないと記載 |
| 共有リンク | 指示は共有リンクの閲覧者に共有されない | Memory Sources は共有リンクに含まれない |
| 使える環境 | すべてのプランで Web Desktop iOS Android に対応 | プラン 地域 プラットフォーム ワークスペース設定により異なる |
使い分けの考え方(目安)
ここからは仕様ではなく、どちらに書くと扱いやすいかという考え方の例です。
| 覚えさせたい内容 | 向いている置き場所 | 理由(考え方) |
|---|---|---|
| 肩書き 業種 読者層 文体の好み | カスタム指示 | 自分で言語化でき、毎回同じように効かせたい前提だから |
| 進行中の案件の経緯や前回の続き | メモリ | 会話の中で変化していく文脈なので、都度書き直すより任せるとよい |
| 特定の資料だけで答えてほしい作業 | その会話のプロンプト | 一度きりの条件は設定に残さないほうが混ざりにくい |
| 他人には見せたくない個人情報 | 設定に書かない | 共有した機密情報がメモリに現れる可能性があると公式に注意書きがあるため |
カスタム指示を設定する手順
公式ヘルプに記載された手順です。画面によって入口の名前が変わります。
Web とデスクトップ
- Settings で Personalization を選ぶ
- Enable customization がオンになっているか確認する
- Custom Instructions の欄に指示を入力する
オフにするときは、Settings で Personalization を選び Custom Instructions をクリックしてから、Enable customization をオフにします。必要なら該当欄の指示を削除します。
iOS と Android
- Settings で Customize ChatGPT を選ぶ
- Enable customization がオンになっているか確認する
- Custom Instructions の欄に指示を入力する
オフにするときは、Settings で Customize ChatGPT を選び Enable customization をオフにします。こちらも必要なら指示を削除できます。
保存できる文字数と注意点
2026年10月時点の公式ヘルプページでは、Free と Go のユーザーはカスタム指示に 1,500 characters まで、Plus Pro Enterprise Business Education のユーザーは 5,000 characters まで保存できると記載されています。上限は変わる可能性があるため、長い指示を用意する前に公式ページで最新の記載を確認してください。
あわせて押さえておきたい点が3つあります。第一に、カスタム指示はChatGPTのデータエクスポートに含まれます。第二に、自分の指示は共有リンクの閲覧者には共有されません。第三に、サードパーティのプラグインを使う場合はモデルが指示の関連情報を開発者に提供することがあるため、公式ヘルプは信頼できるプラグインだけを使うよう案内しています。なお、カスタム指示の利用から得られる情報はモデルの性能改善にも使われると明記されています。
メモリを設定して覚えた内容を確認する手順
メモリの管理画面を開く
- Settings を開く
- Personalization を選ぶ
- Memory を選ぶ
表示される項目は環境によって異なり、Memory、Reference saved memories、Reference chat history、Memory summary、Manage、Saved memories などが含まれる場合があります。記載どおりの項目が見えない場合は、まだそのアカウントで利用できない可能性があると公式ヘルプは説明しています。連携済みのティーンアカウントでは、保護者が Parental controls から対応するメモリの項目を管理できるとも記載されています。
Reference chat history をオンにすると、過去の会話の関連情報を今後の応答のパーソナライズに使えます。明示的な保存メモリとは違い、チャット履歴から得られた情報は、覚えておくと役立つ内容の更新にあわせて変わりうると書かれています。チャット履歴を通じて参照できる内容には、別個の保存上限はないと記載されています。
何を覚えているか確認する
Memory summary は、パーソナライズに使われうる情報の概要を見るための画面です。公式ヘルプには、メモリが参照しうるすべての詳細や情報源を網羅するとは限らないと書かれています。ChatGPTに自分について何を覚えているか尋ねることもできます。
また、ChatGPTが個人の文脈を使ったときは、応答の下に Sources が表示される場合があります。Sources からは、過去のチャット、保存されたメモリ、カスタム指示、ファイル、連携したメールなど、パーソナライズに寄与した情報を確認できます。情報源と使える操作によっては、情報源を開いて確認する、保存されたメモリを修正または削除する、参照されたチャットを削除する、情報源を関連あり・関連なしとして印をつけるといった操作ができる場合があります。ただし Sources は応答を形づくったすべての要素を示すとは限らず、共有リンクで会話を共有したときには含まれません。
直す 言わせない 消す
覚えている内容が古かったり間違っていたりする場合、ChatGPTにその旨を伝えられます。Memory summary が使える環境では、テキスト欄に修正を入力したり、該当箇所を選んで修正を与えたりできます。
- Don't mention this again は、その情報への今後の言及を減らします。元の情報源そのものを削除するものではありません。
- Delete and turn off memory は、要約に表示されている記憶内容を削除してメモリをオフにします。過去のチャットは削除されません。
- 保存されたメモリは、ChatGPTに忘れるよう頼むか Memory 設定から削除できます。
取り除く手順は、情報がどこに保存されているかによって変わると公式ヘルプは説明しています。保存されたメモリとして保存された情報を取り除くには、その保存されたメモリと、最初にその情報を共有したチャットの両方を削除します。加えて、Memory summary、保存されたメモリ、通常およびアーカイブ済みのチャット、Library のファイル、連携アプリなど、その情報が現れる他の情報源からも削除します。情報を含むアプリをChatGPTに参照させたくなくなった場合は、そのアプリの連携を解除するという案内もあります。削除やメモリの更新が反映されるまでには時間がかかることがあり、削除された保存メモリのログは安全性とデバッグの目的で最長30日間保持される場合があります。
Reference chat history をオフにすると、過去のチャットから記憶された情報は30日以内にOpenAIのシステムから削除される予定になります。元のチャットは自分で削除しない限り履歴に残り、保存されたメモリも削除されません。
improved memory と legacy の切り替え
公式ヘルプでは2つのメモリ体験が説明されています。Improved Memory は関連する文脈の広い要約を継続的に更新し、legacy saved memories は個々の記憶項目をより明示的なリストとして扱います。切り替えが使える環境では、Settings を開き Personalization を選び Memory を選んだうえで、legacy を使うなら Saved memories を、improved Memory に戻るなら Try improved memory を選びます。メモリ体験を変更してもチャット履歴は削除されません。
メモリと学習は別の設定
公式ヘルプは、メモリは応答のパーソナライズを制御し、モデル学習の設定は対象となる内容をモデル改善に使えるかを決めるもので、これらは別の設定だと明記しています。個人のChatGPTアカウントでは、Improve the model for everyone がオンのとき、チャットや記憶された情報がモデル改善に使われる場合があります。オフにしたい場合の手順は次のとおりです。
- アカウントメニューを開く
- Settings を選ぶ
- Data controls を選ぶ
- Improve the model for everyone を選びオフにして Done を選ぶ
iOS と Android ではサイドバーを開き、プロフィールアイコンから Settings を開いて Data controls を選び、Improve the model for everyone をオフにします。サインインしている場合、この設定は複数の端末にまたがってアカウントに適用されます。オフにすると新しい会話はOpenAIのモデルの学習に使われなくなりますが、保存済みのチャットが削除されたり非表示になったりはしません。なお ChatGPT Business Enterprise Edu ChatGPT for Healthcare のワークスペースの内容は、既定ではモデルの学習に使われません。
毎回の前置きを減らす書き方の例
ここからは使い方の提案です。カスタム指示は保存するとすべてのチャットに即時適用されるため、「誰が 何のために どんな形で」を短く固定しておくと、毎回の説明を減らせます。
1つめは、カスタム指示の欄に貼る自己紹介の型です。
【前提】
・私は従業員50名規模の建材商社の営業担当。担当は既存顧客のフォローと見積作成。
・読み手は取引先の購買担当と社内の上司。専門用語は社内で通じる範囲まで。
【回答の形】
・最初に結論を1〜2文。そのあとに箇条書きで根拠を3点まで。
・社外向けは敬体、社内メモは常体。
・固有名詞や数字が足りないときは、推測で埋めずに質問として先に挙げる。
【避けてほしいこと】
・前置きのあいさつ文。すぐ本題から書く。
2つめは、覚えておいてほしい前提を明示的に頼むときの例です。保存されたメモリは、自分が明示的に覚えるよう頼んだ詳細などだと公式ヘルプに記載があります。
これから何度も使う前提なので、次の2つを覚えておいてください。
1. 私が「見積メール」と書いたら、件名・本文・納期の注意書きの3点セットで出す。
2. 金額は税抜で書き、末尾に「表示は税抜です」と添える。
覚えたら、何をどう覚えたかを1文ずつ復唱してください。
3つめは、覚えている内容の棚卸しに使う例です。ChatGPTに自分について何を覚えているか尋ねられることが公式ヘルプに書かれています。
私について今どんな前提を覚えているか、箇条書きで挙げてください。
そのうえで、次の形で整理してください。
・今も正しいもの
・古くなっている可能性があるもの
・そもそも私が伝えた覚えがないもの
最後に、古くなっているものについて「どう直せばよいか」を質問として返してください。
職種別の使い方の例
以下は職種ごとの使い方の例であり、機能の仕様ではありません。
営業
商材 顧客層 価格の書き方 社内の言い回しは、毎回説明していると時間がかかります。これらはカスタム指示に固定し、進行中の案件の経緯はやりとりの中で扱う、という分け方が考えられます。見積メールや訪問後のお礼文のように形が決まっている文書は、出力の型までカスタム指示に書いておくとよいでしょう。
事務 バックオフィス
社内文書のフォーマットや敬語のレベル、使ってよい略称は、書き手が変わるとぶれやすい部分です。カスタム指示に「社内向けは常体」などの書式の好みを置いておくと、毎回の指示が短くなります。公式ヘルプも共有した機密情報がメモリに現れる可能性があると注意しているため、社外に出せない数値を扱う作業では、設定に書き込まず会話内で必要最小限だけ渡す進め方が無難です。
企画 マーケティング
想定読者 競合 ブランドのトーンのように何度も参照する前提はカスタム指示に、検討中の施策の経緯はメモリに任せる、という使い分けが考えられます。なおメモリが有効な場合、関連する詳細を使ってより役立つ検索クエリを組み立てることがあると公式ヘルプに記載されています。
よくある失敗と対策
設定を直したのに前の会話が変わらない
カスタム指示の更新は今後の会話にのみ反映されます。過去の会話からカスタム指示の影響を取り除きたい場合は、該当の会話をチャット履歴から消す必要があると公式ヘルプに記載されています。設定を変えたら、新しいチャットを開いて結果を見比べると違いが分かりやすいでしょう。
チャットを削除したのに前提が残っている
保存されたメモリはチャット履歴とは別に保存されます。元のチャットを削除しても、そこから作られた保存メモリが自動的に削除されるとは限りません。残したくない情報は、保存されたメモリ側と最初に共有したチャットの両方を見る必要があります。
「言わないで」と「削除」を同じだと思っている
Don't mention this again は今後の言及を減らす操作で、元の情報源を削除するものではありません。情報そのものを取り除きたい場合は、Memory summary や保存メモリの項目、該当チャット、Library のファイル、連携アプリなど、その情報が存在する場所から削除する必要があります。
学習を止めたつもりでメモリが残っている
メモリと学習の設定は別です。Improve the model for everyone をオフにしても、保存済みのチャットが削除されたり非表示になったりはしません。逆に、メモリをオフにしても過去のチャットは残ります。目的に応じて、どちらの設定を触るのかを分けて考えるとよいでしょう。
よくある質問
カスタム指示とメモリは何が違うのですか
公式ヘルプのFAQでは、両者は違うものだと明記されています。カスタム指示はChatGPTが何を知っておくべきか、どう応答すべきかについて自分が与える直接的な指針です。メモリは会話をまたいで発展する関連情報や、他の利用可能な情報源を使えるしくみです。
カスタム指示に書ける文字数はどれくらいですか
2026年10月時点の公式ヘルプページでは、Free と Go のユーザーが 1,500 characters、Plus Pro Enterprise Business Education のユーザーが 5,000 characters まで保存できると記載されています。上限は変わることがあるため、公式ページで最新の記載を確認してください。
メモリをオフにすると過去の会話も消えますか
メモリをオフにしても過去のチャットは削除されません。あとでメモリをオンに戻した場合、履歴に残っているチャットから新たに記憶される情報が作られることがあると公式ヘルプに記載されています。
今回だけ前提を使わせたくないときはどうすればよいですか
一時的なチャットを始める前に、既存のメモリ カスタム指示 プラグインを使うかどうかを選べます。使いたくない場合は Unpersonalized を選びます。この選択は会話が始まったあとには変更できません。一時的なチャットはメモリを作成したり更新したりしませんが、保存すると通常のチャットになり、アカウントのパーソナライズとモデル改善の設定に従います。
会社のアカウントで設定項目が見つかりません
メモリの機能や操作できる項目は、プラン 地域 プラットフォーム ワークスペースの設定によって異なります。ワークスペースのオーナーと管理者は、対応するメモリ設定とロールの権限を管理できます。Enterprise のワークスペースで設定が見つからない場合は、ワークスペース管理者に問い合わせるよう案内されています。
会社やチームで使うなら
個人の設定で前置きを減らせても、チームで使うなら「どこまでを設定に書くか」の目安を先に決めておくほうが揉めません。公式ヘルプには、ワークスペースのオーナーと管理者が対応するメモリ設定とロールの権限を管理できること、ChatGPT Business Enterprise Edu ChatGPT for Healthcare のワークスペースの内容は既定ではモデルの学習に使われないこと、管理されたワークスペースには組織単位の保持やメモリ、コンプライアンス、アクセスの設定を持てることが記載されています。社内規程や取引先との契約に関わる判断は、所属先の情報セキュリティ担当や公式窓口、必要に応じて専門家に確認してください。法人での導入や研修を検討しているなら、株式会社デジライズに相談できます。株式会社デジライズは法人向けAIリスキリングサービスで導入社数No.1(東京商工リサーチ 2026年3月末時点)です。
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まとめ
カスタム指示は自分で書いて渡す指針で、保存するとすべてのチャットに即時適用されます。メモリは会話や他の情報源から育つ関連情報を使うしくみで、参照される項目や操作できる設定はプランや環境によって変わります。どちらも Settings の Personalization から管理でき、覚えた内容は Memory summary や Sources で確認して直せます。設定を体系的に身につけたい場合は、デジライズAIスクールのコース一覧や料金プランから「ChatGPTパーソナライズ(上級)」のような講座を確認してみてください。デジライズAIスクールは個人向けのオンラインAIスクールで、動画は990本以上あります。
出典
- ChatGPT Custom Instructions | OpenAI Help Center
- Memory in ChatGPT | OpenAI Help Center
- Data controls in ChatGPT | OpenAI Help Center
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